書類を収納するオフィスキャビネットは、オフィスに欠かせないアイテムです。
近年は日本各地で地震が発生しています。ひとたび地震が起きると、オフィスキャビネットが転倒・移動して地震の被害を拡大させてしまうことがあります。
このコラムでは、地震による大きな揺れに備えたオフィスキャビネットの選び方や配置について解説します。ぜひ参考にしてください。
オフィスキャビネットの種類
オフィスキャビネットは、目的に合わせて複数のタイプが発売されています。オフィスキャビネットを大きく分類すると以下の5種類となります。
【オープン型】
扉が付いていないキャビネット。中を一目で見渡すことができます。
【両開扉】
観音開きの扉が付いているキャビネット
【引き違い扉】
書庫に付いた扉をスライドさせて書類などを出し入れするキャビネット。
【ラテラル型】
引き出し型のキャビネット。大容量の書類を収納できます。
【サイドキャビネット】
個人用の収納スペースとしてデスクの下や横に置いて使うキャビネット
オフィスキャビネットの選び方
多くの書類を収納するため、2種類のキャビネットを積み重ねて使用しているオフィスも多いことでしょう。
例えば、上段がガラスの引き戸タイプのキャビネット、下段がスチール製の引き戸のキャビネットにすれば、中に多くの書類を収納でき使い勝手が良くなります。
しかし地震が発生した時は、このような2段重ねのキャビネットは揺れに耐えられず転倒するリスクが高くなります。また、ガラス扉のガラスが割れて、その破片でケガをする恐れもあります。
被害を最小限に抑えるためには、どのようなオフィスキャビネットを選べば良いのでしょうか。選び方のポイントをまとめてみました。
【ラッチ付き】
扉が開いて収納物が飛び出さないように、引き出しや扉にラッチ(留め金)がついているものを選びましょう。
【強化ガラスを使っている】
ガラス扉のキャビネットは、強化ガラスを使用しているものを選ぶようにしてください。強化ガラスでない場合は、ガラス飛散防止フィルムを張りましょう。
【連結できる】
キャビネットを連結できると耐震性が高まるので、上下、左右の各キャビネットを連結できるものを選ぶのがよいでしょう。
【引き出しがセーフティロック機構】
セーフティロック機構が施されているキャビネットを選びましょう。地震や運送による激しい揺れを感知すると自動的に鍵がかかるキャビネットや、引き出しを一段開けていると他の引き出しは全てロックされるキャビネットが市販されています。
震災に備え安全な配置と転倒防止対策を
オフィスの地震対策のひとつとして重視されているのが、家具の転倒防止です。厚生労働統計協会が1996年に実施した「国民衛生の動向」によると、阪神淡路大震災における死因の77%は、建物の崩壊や家具の転倒などによる圧死や窒息死によるものであることが明らかになっています。
災害リスクの軽減は、企業が社会的責任の最重要事項といえます。地震への対策を万全に施した安全なオフィスにするためには、どのような対策を実施すればよいのでしょうか。
【オフィスに潜むリスクを把握する】
地震発生時には、普段使っている家具が凶器になります。自社のオフィスはどの程度安全なのか、地震による揺れで発生するリスクはどの程度のものなのかを把握することが大切です。
□キャビネットが倒れて扉が開くと収納物が人を直撃する可能性があり危険です。
□重い家具が転倒するとガラスが割れて飛散して危険なので、オフィスの中央には置かないようにします。
□家具や金庫が移動して窓ガラスを破り外に飛び出す可能性もあり危険です。
□出入り口付近に家具を置くと転倒して避難路をふさいでしまいます。
【安全に配置する】
□揺れによる転倒のリスクがある大型のキャビネットを置くスペースは、執務スペースを分けるようにしましょう。キャビネットをまとめて置くスペースをつくり、キャスターなどが付いている場合は必ずロックします。ベルト式器具などで壁面に連結しておくと安心です。
□避難通路にキャビネットを置かないようにします。
□執務室内のデスク周辺やオフィスの中央に背の高いキャビネットを置かないようにします。執務室のキャビネットは、できる限り背の低いタイプのものを選ぶようにしましょう。
【転倒防止対策を施す】
震度5弱の地震が発生すると、書棚の本が落ち、置物が倒れ、固定していない家具が揺れで移動することがあります。また、震度5強以上になると窓ガラスが割れて落ちることがあり、固定していない家具の転倒が想定されます。キャビネットに施す転倒防止対策は次のようになります。
□金具で、床や壁下地の鉄骨、コンクリートなどとボルトで固定します。ボルトは直径6mm以上のものを使用しましょう。
□キャビネットの上部を壁に固定しましょう。
□壁に沿って設置し、左右のキャビネットと連結して安定化を図ります。
□2段に重ねる場合は上下を連結し、床や壁、天井に固定しましょう。
□キャビネットを壁沿いに設置できない場合は、高さ120cm程度までのキャビネットを背中合わせに連結して安定化を図りましょう。
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