働き方改革によってオフィスの在り方も多様化しています。オフィスデザインが従業員のモチベーションを左右することもあり、オフィスの内装は経営戦略に直結する重要事項となりつつあります。今回は、職種に合わせたオフィスレイアウトのパターンや、各レイアウトのメリット・デメリットなどについてご説明しましょう。
画一的なオフィスレイアウトでは働きにくい
世の中にはさまざまな職業が存在し、オフィスでは職業ごとに多様な働き方が行われています。そのため、画一的なオフィスレイアウトを提案するだけでは、そこで働く人の能力を十分に引き出すことができません。ちょっとした思いつきでデスクを動かしてレイアウトを変更しても、働きやすいオフィスをつくることはできないのです。
働きやすいオフィスづくりは企業にとっても大きな課題となっています。経済産業省のクリエイティブ・オフィスに関するアンケート調査(2008年3月)によると、勤務先のオフィス環境について不満を持っている人が半数以上にものぼるという結果が出ています。
どのようなオフィスにするのかコンセプトを決める
「顧客から電話が頻繁にかかってくるので静かな場所で仕事したい」「来客が多いので商談スペースを設けたい」「さまざまな部署のスタッフが話し合えるスペースがほしい」など、数え切れないほどの要望がオフィスには求められています。
オフィスが仕事に与える影響は、想像以上に大きいことがわかっています。快適でありながら仕事の効率も高まるオフィス空間をつくるには、まずは「どのようなオフィスにしたいか」「何を重視するのか」を明確にすること、つまり「オフィスコンセプト」を決定することが大切です。
例えば、「クリエイティブ系の職種だから、開放的な空間にしてアイデアが浮かびやすいオフィスにしたい」「社員数が多いので、気分転換とコミュニケーションを図れるオフィスをつくりたい」などコンセプトを決めることで、「開放的な空間→目線より高い家具を置かない」「気分転換がはかれる→広めのリフレッシュスペースを社内に設ける」といった具体的なプランを思い描くことができます。
オフィスの基本レイアウト
オフィスの面積には限りがあるため、働きやすさを生み出すにはさまざまな工夫が必要です。また、デスクレイアウトのタイプと業務内容には相性あるため、その相性によって仕事の効率は良くなったり悪くなったりします。
対向式レイアウト
背中合わせのレイアウトで、島型と呼ばれることもある机の並べ方です。英語ではアイランドオフィスと呼ばれています。机を集めて一人一人が向かい合わせになるように座ります。
部署ごとにデスクを集めて島をつくる形式で、日本のオフィスの90%以上がこのレイアウトを採用しているともいわれています。
対向式レイアウトは、共同作業が重要な部署に向けた配置です。事務職、営業職など、幅広い職種に適しています。
同向式レイアウト
スクール式や並列式とも呼ばれており、一般的なオフィスでは取り入れられることが少ないレイアウトパターンです。
銀行や秘書室、電話オペレーター室などで導入されることが多い配置で、個人が業務に集中することを重視しており、特定の定型業務を行う職種には非常に効率的なレイアウトです。
レイアウトの種類によるメリット・デメリット
オフィスの基本レイアウトとして広く知られている、対向式レイアウトと同向式レイアウトですが、それぞれメリットとデメリットがあります。
対向式レイアウト
<メリット>
メンバーが互いに向き合って顔を合わせているので、グループ内で情報を共有しやすい。
部署ごとにコミュニケーションとりやすく、配置スペースの無駄がない。
電話やパソコンを管理しやすい。
部署がどこにあるのかが外部の人にもすぐわかる。
メンバーの仕事の進捗をすぐに把握できる。
デスクが統一されているのでスペースの効率が良い。
人員異動の際、移動しやすい
<デメリット>
対面なので情報の共有がしやすい反面、メンバーの視線が気になる。
メンバー同士の距離が近いため、プライバシーを守ることができない。
デスクで島を形成しているグループは親密度が高くなる反面、他の部署には背を向けているので、自然にコミュニケーションをとらなくなる。
ありふれたレイアウト。
同行式レイアウト
<メリット>
全員が一方向を向いて作業するので、視線が気にならない。
全員の視線が前方に向けられているので、プライバシーが保たれる。
業務に集中でき機能的。
入り口に顔を向けているので顧客がよく訪れる部署でも、顧客に失礼がない。
<デメリット>
スペースの効率が悪い。
リーダーがデスクの後部でメンバーの働きぶりを管理する場合、メンバーは監視されているといった思いを抱き、ストレスを感じる場合もある。
部署内のコミュニケーションがとりにくい。
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